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第3回学生座談会企画 ー診療科特化型 眼科ー

医学部学生が実際に臨床現場で働いている先生方にお話を聞く企画

マッチングや病院選びなどの経験談を座談会形式で聞いてみました

今回は新企画として、ひとつの診療科にフォーカスして先生方をお招きしました。

帝京大学医学部附属病院 眼科学講座で働かれている3名の先生方にお話を伺いました。

お話頂いた先生方

川嶋真先生

2011年度卒

初期研修:帝京大学 

帝京眼科入局11年目

小坂晃輝先生

2021年度卒

初期研修:順天堂大学

帝京眼科入局2年目

石川寧子先生

2022年度卒

初期研修:帝京大学

帝京眼科入局1年目



――早速ですが、眼科医を目指した理由を教えてください

 

川嶋:僕は親族に医療系の職業が多く、その影響が大きくて医師になりました。はじめは眼科に限らずマイナー科を視野に入れていろいろな科がある総合病院で研修をしました。その上で最終的に眼科にしました。

 

小坂:僕は実家が眼科のクリニックなので当初から眼科医になるんだという思いがありました。内科にも興味があったので初期研修後、訪問診療に1年従事し、幅広く経験した上で眼科の道に進みました。

 

石川:私も実家が眼科のクリニックで、幼い頃から眼科医の父の姿を見て漠然と医師を目指していました。実は外科と迷っていましたが、昔から抱いていた思いから眼科医を志しました。

 

――先生方は初期研修先をどのように決められたのでしょうか?研修先の特徴なども交えて教えてください。

 

川嶋:僕は帝京大学を選びました。研修先を決めるときは眼科医になるとは決めていなかったのでマイナー科を視野に入れつつ、色々な科がある総合病院を選択しました。僕の時代ではほとんどの学生が帝京に決めていて、外に出る学生は10人くらいでした。マッチングの時期と卒業試験の時期が被っていたので、成績に余裕のある上位層しか外部の病院に出ることは考えていませんでした。帝京は知り合いが多く、総合病院であり、厳しさも居心地の良さもある。また研修医が様々なことを経験できる機会が多く、学びやすい環境であるということから最終的に選びました。

 

小坂:僕は順天堂を選びました。確かに帝京は居心地が良い。でも2年くらい外に出て、他の病院がどんな感じなのか見てみたくなったんです。その時は眼科以外にも興味のある診療科もありましたし、マイナー科におけるシーリングの厳しさも踏まえて総合病院の順天堂にしました。順天堂は小児眼科を専門でやっているので、それも決め手になりました。

 

石川:私は実家が茨城なので、茨城で色々な症例を診られる三次救急の市中病院を探していたんです。でもコロナの時期と被って、都内からだとなかなか直接は見学できず、ウェブでしか見学することができませんでした。1つ見学に行ってみたんですけど、茨城県って筑波大が強くて、外部から来ると微妙な雰囲気になっちゃって帝京は居心地もいいし、実際学生の時に上の先生はけっこう熱心に教えてくれたので、だったら外に行かなくてもいいかなと。将来眼科医になるためのシーリングも考えて、やっぱり帝京に残ろうと思って第一希望を帝京にしました。

 

貴重な体験談を後輩のために、熱心かつ親身にお話ししていただきました。

――初期研修でもシーリングなどを見据えた施設選びをするべきでしょうか?

 

川嶋:眼に関してはどの科の先生もタッチできないから、僕ら眼科医はすごく専門性が高い。だけどみんなができること、つまり医者としての最低限の知識は持っておくべきだと思う。それは何科の先生でも。ということを考えると初期の2年間で学べる眼科に特化したプログラムのような内容は絶対に入局してからでも取り返せると思うよ。

 

学生:眼科に特化した病院に行くための布石として、初期研修医からその基幹病院に行くべきということはありますか?

 

川嶋:後から国内留学をすることもできるし、別に初期研修の病院によって後々の選択肢が狭まるとは僕は思わない。仮に帝京にいようが、医療センターにいようが、やりたいことがあればどこの病院にいても選択肢はあると思う。もし、本当にやりたいことのために他所に行くってなったら、(帝京は)させてくれると思うよ。僕の同級生もみんなそれぞれ慈恵とか順天とか日医とかに行ってバリバリやっているけど、そんなに羨ましいとか思ったり、引け目を感じたりしたことはない。むしろ僕は、2年間こういう総合病院で研修をやれたことが、自分の中ですごく大事な時間だったと思う。もし迷っているなら、総合病院をお勧めしたい。

 

学生:将来的な差はあまりないから、一旦視野を広く持った方がいいということですよね。

 

川嶋:そうだね。後から取り返せると思うよ。眼科の領域ではね。

 

学生:もし今また研修先を決めるとしたら、サブスペシャリティなどを考慮したうえで帝京を選びますか?

 

川嶋:それはどこまで具体的なビジョンかにもよるかな。初期研修にあたって自分の将来が決まっていないなら、僕は総合病院を選ぶといいと思う。だけど、もし最初から眼科しか考えていないならば、どの程度眼科に特化しているのか、初期研修が終わった後どういう進路があるのかということも含めて選んでいってもいいと思う。ただ、もし眼科に決めているとしても2年間くらい他の科見るのも良いんじゃないかな。帝京じゃなくても大学病院は初期研修をスタートさせるうえで一番平均的かつ、選択肢が残る場所だと思う。自分が確たるビジョンを持ったとこにはちょっと足りないところが出てくるかもしれないけど、幅広く学べると思うよ。

 

学生:眼科重症疾患の手術技術を学ぶにはやはり、大学病院ですか?

 

川嶋:大学病院じゃない方ができるよ。分野にもよるけど最新の機械や技術はクリニックの方が取り入れてる。そういう最新の技術はクリニックに学びに行くのもいいと思う。「〇〇眼科」主催の学会(個人のクリニックが主催している学会)とかも多いし。

 

学生:クリニックは教育的なイメージがあまりないのですが

 

川嶋:開業医は教えることを仕事にしてないからね…  でも、教えてあげない意地悪な先生はいないと思う。僕も、バイト先の開業医の先生にオペを見させてもらったり、やり方を教えてもらったりしてるよ。

 

小坂:研修先の選び方は、個人的にはどちらでもいいと思いますが、マイナーに重きを置くなら眼科がある病院を選んだ方がいいと思います。大学病院って幅広い選択肢があるというところが利点だと思いますが、安全に配慮している分できることは少ない。一方で市中病院だと、眼科以外のコモンな症例を多く経験することはできるけど、ずっとその市中病院の中で働くことになると思います。自分は大学病院で研修していましたが、(ローテの)選択期間が長かったので、その間に市中病院に行って眼科以外のできることを増やしました。だから、マイナーに重きを置くなら、大学病院で研修をしつつ、選択期間に市中病院に出向してコモンな症例をたくさん学ぶといったように、自分で追い込むやり方もいいと思います。今やりたいと思う分野が今後変わることもあるので、眼科だけに重きを置いて研修病院を選ばなくてもいいのかなと思いました。

 

石川:私の場合はもともと眼科医になる予定でしたが、実は他の科とも迷ってて 眼科一直線で選択期間のプログラムを考えて将来を見据えてる人もいると思いますが、私は下部消化管外科が好きだったので、どの診療科にすすむかとても迷っていました。将来眼科になるからこそ、全く違う科も勉強しておきたいなという考えもありました。眼科でも小児や高齢者、斜視の手術などで全身麻酔をする事があるので、麻酔科を回ったり、自分が好きだった下部消化管外科を回ったり、選択期間は幅広く自分の好きな科を勉強しました。

 

 

――本日はありがとうございました。最後に帝京大学眼科学講座の医局内の雰囲気などを教えてください!

 

石川:アットホームで、とても相談しやすくて良い医局です。

 

小坂:比較してしまうのもですが、他の大きな病院に比べて最初の頃から症例を自分で手術させてもらえるのも良いところだと思います。なかなか他のところで帝京みたいに手術させてくれるところはない気がしますし。ここに来たときこんなに手術させてもらえるんだって思いました。そういう面で最初の頃から色々できるのは良いのかなって思いました。

 

学生:例えば年間で何件くらいの手術をされましたか?

 

小坂:白内障手術だと今2年目で15件くらいやったかな、他のところだと1年で1,2件やれたら良いのかなくらいだから、そうなると全然違うよねって感じです。

 

川嶋:どの科もトップが変わると科の雰囲気も変わるもので、今眼科学講座は教授が変わったばかりでそういう意味では色々なことが過渡期だけど、それでもそれなりに楽しいしね。

 

小坂:上が変わっても帝京の雰囲気が残ってますもんね

 

川嶋:そうそう

 

小坂:帝京は帝京生のことが好きだから。

 

川嶋:そうだね。周りの足を引っ張りあったりしないしさ。他の場所とかだとみんながビックリするようなバチバチがあるらしいけど、帝京にはないな。そこが帝京眼科のいいところかな。


今回は眼科学講座の皆さんにインタビューをさせて頂きました。

帝京生の温かさを感じられるアットホームで素敵な医局なのだなと思いました。

お忙しい中お時間を割いてくださった先生方、本当にありがとうございました!

 

 

診療特化型座談会では各診療科にフォーカスして臨床現場で働く帝京生の先輩方のお話を聞いていきます。

次回もお楽しみに!

今回インタビューに参加した学生

左から、小林大起・長南温郎・宮永英奈・清水莉子・田島明日華 (医学部医学科4年)